2019/10/20 未分類 

「結愛ちゃん事件を忘れない。」 理事長 安田壽朗

【CAPTA通信:理事長 安田壽朗 あいさつ】
 2019年10月15日、東京都目黒区で起きた船戸結愛ちゃん(当時5歳)を虐待死させた父親に対して、保護責任者遺棄致死罪として懲役13年の実刑判決が言い渡されました。9月に判決が言い渡された母への懲役8年の実刑判決とともに、とても重い量刑です。
公判で、父雄大被告は、暴力を繰り返した理由について、「思い描いた理想を結愛に押し付けてきた」「しつけがうまくいかず、怒りが強くなった」「感情のコントロールができなくなった」と述べたとされています。結愛ちゃんが勉強を命じたのに無視して寝ようとしたのを見て激怒し、「なぜ寝ているのか」と詰問し、 口をふさぎ「謝れ」とどなり、顔を数回殴った上に、ふろ場に連れていきシャワーで顔に冷水を浴びせたと、伝えられています。「善意の願望」が肥大化し、ついには暴力に転換する「虐待の背理」ともいえる出来事です。
私たちは、このような事件を、特殊な事件と切り捨てることはできません。なぜならば、この世界は、大人たちの子どもたちへの際限のない「善意の願望」に満たされていると思えるからです。
スポーツの世界であふれている「(全国)制覇」という言葉、著名スポーツ選手の「子どもたちに夢を与えたい」というメッセージは、大人たちの「わが子を幸せにしたい」という「善意の願望」と結びつくとき、時として「虐待の背理」の罠にはまると思わざるを得ません。「善意の願望」は、現行の競争主義的、抑圧・差別的な学校制度の基盤ともなっています。日々、テストと点数に追われ、学習塾通いのなかで、一人一人がもっている豊かな才能、すぐれた能力のつぼみを痛めつけられ、プライドや誇りを傷つけられて悲しい思いをしたり、子ども同士が傷つけあったり、挙句のはてには、おさない命を自ら断ったり、あるいは他の人を殺傷したりという状況に追いこまれる子どももいます。子どもへの虐待は、このような子どもが置かれている全般的危機とも言える状況の表れとの一つにほかなりません。子どもの虐待防止の県内唯一の民間団体であるCAPTAは、苦しみ、抑圧され続けている子どもの声なき声を聞き取り、子どもと繋がり、子どもを支えることを、その活動の原点としたいと思います。

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